【まとめ】8年のWordPress運用でつかんだ注意点

【まとめ】8年のWordpress運用でつかんだ注意点

WordPressとはCMS(コンテンツ管理システム)のひとつであり、現在、世界中のホームページの1/3がWordpressで作られていると言われています。

昨今の企業ホームページでもWordpressを採用するケースがかなり増え、お客さまが伝えたい情報を手軽にタイムリーに発信するには最適な選択肢といえます。
しかし、猫も杓子もWordpressという今だからこそ、導入には細心の注意を払っていただきたいのです。

WordPressでお客さまのホームページを制作している弊社だからわかること。

お客さまが少しでも更新しやすく、効果的なホームページ運営ができるよう、Wordpressのカスタマイズに心を砕く弊社だからいえること。

弊社は2011年よりWordpressでのホームページ制作と運用で実績を積み、相応のノウハウがあります。そんな弊社が、Wordpressでのホームページ制作を検討される際の注意点をまとめました。

1初心者でも簡単に使える“便利ツール”ではない

WordPressは、一定のITスキルを持った人を対象にしており、初心者でも使えるようにするには、相応のカスタマイズが必要です。

特に、都内のウェブ制作会社に発注した場合、発注側のITスキルも高い傾向にあるだけでなく、発注側に運用部署を持つ場合もあるため、わざわざ初心者向けにカスタマイズしない場合が多いです。具体例を挙げると、HTMLタグを手打ちする更新方法で納品される事がありますが、この方法は初心者には難解ですので更新が大変になってしまい本末転倒です。制作会社を選定する際には、そういったユーザーへの配慮具合を事前によく確認しましょう。

インストールしたばかりのWordpressの編集画面
インストールしたばかりのWordpressの編集画面
横文字も多く、ある程度のITスキルがないとわかりづらい。

2機能をわざわざ追加しないとほぼ使えない

インストール直後のWordpressは、画像の差し替えさえできません。企業サイトによく見られるお問い合わせフォームの機能さえもありません。

WordPressは“プラグイン”という拡張機能を追加することで、適切なウェブサイトに構築していきます。プラグインは世界中の開発者によって膨大な数(※2019年12月時点で55,057個!!)が開発され、機能や品質面において玉石混交です。

せっかく採用したプラグインでも、数年で開発が停止してその後の運用に支障をきたすこともあります。また、プラグインにもセキュリティ問題(脆弱性)が発覚した場合は、Wordpress本体と同様にバージョンアップが必要です。さらには、Wordpress本体のバージョンや他のプラグインとの相性によって不具合が起きる場合もあります。

膨大なプラグインの中から安全で最適なものを選ぶには、制作ノウハウだけでなく運用ノウハウも必要なのです。

ちなみに弊社で追加するプラグインの数は1サイトあたりおよそ48個。プラグインは追加するにつれ重くなったり相性問題が発生するため、できるかぎり少ない方が良いとされていますが、企業サイトに求められる機能や運用性を追求した結果、弊社ではこのようになっています。

Wordpressの管理画面に並ぶ48個のプラグイン
WordPressの管理画面に並ぶ48個のプラグイン。
機能をひとつひとつ吟味していくと、このような数になる。

3マニュアルはほぼ無い

WordPressには簡単なヘルプ機能はついていますが、決して初心者にわかりやすいものではありません。前述のとおり、企業のホームページ向けにはカスタマイズして使うのが前提となるので、実質、マニュアルはありません。

カスタマイズした内容にあわせて、しっかりとマニュアルを整備する制作会社なのかどうか?

制作会社を選定する上で重要な選定基準です。

Wordpressの管理画面上部に表示されるヘルプ
WordPressの管理画面上部に表示されるヘルプ。
文字のみでわかりにくい。プラグインで追加された機能についての説明は無い。

4日本語環境も含めたカスタマイズが必要

WordPressは海外製なので、場合によってはプラグインを翻訳して使用するなど日本語環境にあわせたカスタマイズが必須です。

例えばインストール直後では、URLに日本語を使えてしまいます。URLに日本語を含むのは検索エンジン対策としては良い事とされていますが、TwitterやFacebookなどでシェアした時にURLとして認識されないなどさまざまな問題があるので現在ではあまり浸透していません。

こういったトラブルを未然に防ぐためのカスタマイズまで気配りされているかどうかが重要です。

日本語化されていない海外製プラグインの管理画面
日本語化されていない海外製プラグインの管理画面。
プラグイン毎に翻訳が必要になる。

5造りのマズさは外見からではわからない

WordPressはホームページの構造から管理画面の造りまで、構築の自由度がかなり高いです。

気の利いた制作会社が作ると気の利いた管理画面になりますが、気の利かない制作会社が作ると、複雑で更新しづらい管理画面になってしまうので注意が必要です。

以下はよくあるパターンです。

 

  • 初心者には難解なHTMLタグを手打ちさせるような更新方法。
  • 更新したい箇所なのに、更新できない造りになっている。
  • 不要な項目(使わない機能)が管理画面にたくさんあって混乱する。
  • 管理画面の一部が英語のまま。

 

最も注意すべきは、こういった品質がホームページの外見からではわからない点です。

自分たちで更新したい場合には、けしてホームページの外見だけを評価してはいけません。

マニュアルと同様に、管理画面の造りまでチェックして“制作会社の気遣い具合”を評価するのがベストです。

初心者には難解なHTMLタグの例
初心者には難解なHTMLタグの例。
本来はこの更新方法が望ましいが、初心者には難易度が高い。

6管理する人材が不可欠

WordPressは“CMS(コンテンツ管理システム)”であり、稼働させるにはデータベースをはじめサーバー環境のさまざまな条件に依存します。

それだけでなく、セキュリティ対策として定期的なメンテナンスも必要になります。

システムとして稼働させる以上、管理する人材(エンジニアなど)が不可欠なのです。

通常、レンタルサーバー会社はサーバーのみの管理であり、サーバー上で稼働しているWordpressなどのウェブアプリケーションまでは面倒を見てくれません。また、Wordpress自体が低予算に抑えるための選択肢であり、ランニング費用もそれなりの場合が多いです。

結果的に、Wordpressの運用サービスは“売上の割に手がかかる”ので、あまり積極的ではない制作会社も多いです。

特に、都内のウェブ制作会社に発注した場合、発注側に運用部署がある場合が多いため、初期構築のみで運用に携わらないケースもよくあるようです。

運用に携わらないという事は、結果的に運用サービスや運用ノウハウは発達しません。

ホームページの制作だけでなく、Wordpressの運用面までサービスが整備されているかどうか?
制作会社の選定基準として、忘れないよう注意が必要です。

大手レンタルサーバー会社のマニュアルより
大手レンタルサーバー会社のマニュアルより。
ほとんどのレンタルサーバー会社でこのような対応となる。

7意外に運用コストがかかる

WordPressは“OSS(オープンソースソフトウェア)”と呼ばれ、ライセンス費用が発生しないソフトウェアであり、フリーウェアと同じような感覚で使用できます。しかし前述の人件費も含め、定期的なメンテンス費用も含めると決して安いものではありません。

自分達でどれぐらい更新するのか?更新を委託した場合とでコストの比較をオススメします。

更新まで委託した方が安く済む場合、コストやリスクを抱えてまでわざわざWordpressで構築する必要はありません。そういった運用コスト面でも制作会社が相談に応じてくれるかどうか?選定基準としてもよいかもしれません。

更新を委託した場合とのコスト比較例
更新を委託した場合とのコスト比較例。
コスト以外にもメリットやリスクも考慮する必要がある。

8発注側にもセキュリティ意識は不可欠

WordPressは、世界中のウェブサイトの1/3を占めるほど広く採用されている分、裏を返せばハッキング対象にされる確率が高いと言えます。

しかしながらWordpressは、定期的にバージョンアップしないとセキュリティを担保できません。これはWordpress本体だけでなく、プラグインについても同様です。

これらのセキュリティコストについては、定期的なバージョンアップの予算を見込むことが重要です。つまり、予算を確保する発注側にもセキュリティ意識は不可欠なのです。

ちなみに、なぜそういったセキュリティリスクもありながら、Wordpressの採用が増え続けているのか?それは、Wordpressがとてもパワフルなツールだからです。

WordPressの開発ロードマップ
WordPressの開発ロードマップ。
メジャーアップデートが1年で4回と精力的だが、それに伴うセキュリティ意識も必要。

9自分たちで更新する範囲を絞る

お客さまからよく「全てのページを自分たちで更新したい」という要望をいただきますが、
その場合、HTMLなどの技術面で不慣れなお客さまでも更新できるように、悪く言えば簡素な造りのページにせざるを得ません。

モバイル対応が当然とされる昨今では、お客さまがウェブページを更新するのはさらに面倒になっています。

お客さまがよく更新するページ、あまり更新しないであろうページを分類して、スパッと割り切って制作会社に委託することが大切です。

企業のホームページでブランドイメージを損なうことなく、一定の品質を担保するには必要な決断です。

自分たちで更新する範囲を絞る
よく更新するページは自分たちで。
それ以外のページはプロに任せるのが得策。

10有料テーマには注意が必要

WordPressには“テーマ”と呼ばれる、手軽に外観を切り替えられる機能があります。

世界中でさまざまなデザインのテーマが数多く開発され、その多くが無料配布されています。

テーマには独自の機能を持つものもあり、特に有料で販売されているテーマは機能が豊富です。

WordPressでのホームページ制作費用を抑えたい場合には、ぜひ検討したい選択肢です。ただし、有料テーマは高度な造りとなっている場合が多く、カスタマイズするのは難しいです。

また、運用中に何らかの問題が発生した場合、テーマの開発元に問い合わせることになり、制作会社を介して有料テーマを採用した場合は責任範疇が複雑になりやすいので注意が必要です。

つまり、有料テーマはそのまま使えばとても有効ですが、ホームページを改修する時は確実に足枷になります。

弊社でも有料テーマをオススメする場合がありますが、総じて以下の場合には向いています。

 

  • とにかく低予算で制作したい場合
  • ホームページ制作会社に委託せず、自分達だけでホームページを制作する場合
  • キャンペーンサイトなど、長期間運用しない場合
  • コンテンツを拡充したり、機能を追加することがない場合
公式サイトで配布されているテーマ
公式サイトで配布されているテーマ。
プラグインと同様に、玉石混合。

11画像編集はニガ手

WordPressは便利なCMSではありますが、画像の加工は得意ではありません。

画像でボタンを作ったり、写真の明るさを調整するには画像編集ソフトが別途必要です。

この点については弊社のお客さまからもガッカリする声をいただいてしまいますが、CMSだからといって、全てをまかなえるわけではありません。

写真撮影や画像加工を委託する予算を確保することをおすすめします。

特に、写真撮影や画像加工はプロと素人で差が出やすく、安易に手を出すとお客さまのブランドイメージを損なうことにつながります。

Wordpressの画像編集画面
WordPressの画像編集画面。
できるのは縮尺変更、トリミング、回転&反転ぐらい。

12レンタルサーバー会社は社名で選ばない

レンタルサーバー会社選びで迷ったら、さくらインターネットもしくはエックスサーバーをオススメします。

これは、お客さまが契約されたサーバーを何社か経験させていただいた上での結論です。

有名だからという理由だけでレンタルサーバー会社を選ぶのはオススメしません。

一般の方がよく耳にする社名の会社でも、機能が不足していたり融通が利かない仕様のために運用に手こずる事が何度かありました。価格の割にサーバーの動作が重い事もありました。

オススメした2社は技術力が高く、比較的安価な割にWordpressを長く安定運用しやすい環境が整備されています。Wordpressを運用しない場合でもオススメです。

同程度のウェブサイトでの速度比較
同程度のウェブサイトでの速度比較。
大手なのに速度が2倍近く遅い。

まとめ

WordPressでのホームページ制作・運用について、さまざまな注意点があることがおわかりいただけたと思います。

世の中に星の数ほどある制作会社の中から、これらをクリアして適切なアドバイスをくれるような制作会社を見つけるのは大変です。

自分たちで更新できるホームページをお考えなら、アサヒコミュニケーションズをぜひご検討ください。

2019年7月31日  研究テーマ:, ,
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